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  • 「令和元年度 田園自然再生活動の集い ~世界に広がる農村の魅力 地域づくりのこれから~」

    令和元年度 田園自然再生活動の集い
    ~世界に広がる農村の魅力 地域づくりのこれから~

     

     令和元年11月25日(月)、東京都文京区の東京大学弥生講堂一条ホールにて、「田園自然再生活動の集い」を開催し、全国各地から田園自然再生活動に携わる活動団体や行政職員、農業関係者などが集まり、熱心に講演に耳を傾け、活発な意見交換が行われました。

    1. 趣旨
      農村では、農業の営みを通じて田んぼや水路、ため池などにさまざまな生きものが育まれ、自然豊かな環境が作り上げられてきました。こうした農業・農村のもつ豊かな自然環境の保全・再生を図るため、地域が一体となって取り組んでいるのが「田園自然再生活動」です。
    「田園自然再生活動」によって育まれてきた自然、文化、そして地域社会がより良いものになるよう、改めて体制を確立し、着実に活動していく必要があります。そのため、関係者が一堂に会し、相互に情報交換や意識啓発を図り、活動の継続、充実や拡大を図ることを目指します。

    2. 開催概要
      ・開 催 日: 令和元年11月25日(月) 13:00~17:10
      ・場  所: 東京大学弥生講堂一条ホール(東京都文京区弥生1-1-1)
      ・主  催: 田園自然再生活動協議会、(一社)地域環境資源センター
      ・後  援: 農林水産省、環境省、全国農村振興技術連盟、
        (公社)農業農村工学会、日本グラウンドワーク協会
      ・参加人数: 112名
      ・プログラム:  
       (1)主催者挨拶 田園自然再生活動協議会 会長    中村桂子
       (2)来賓挨拶 農林水産省農村振興局整備部長    安部伸治
        環境省自然環境局自然環境計画課長  植田明浩
       (3)講演 「田舎の資源を活かしたインバウンド観光 ~Walk Japan の28年の歩み~」
         The Japan Travel Company(株)代表取締役社長 クリスティポール
       (4)オリエンテーション
       (5)活動発表 ○松川菜々子氏(NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部)
           「山里NPO ~自立した地域づくりに向けて~」
        ○堀 彰男 氏(せせらぎの郷)
           「魚のゆりかご水田から見たSDGs」
        ○田中ひとみ氏(NPO法人つくば環境フォーラム)
           「筑波山麓「すそみ」の活動
        ~生きものと共存する米づくりから森を元気にする薪づくりまで~」
       (6)パネルディスカッション
        コーディネーター:荘林幹太郎
        コメンテーター :中村桂子
        パネリスト   :クリスティポール、松川菜々子、堀彰男、田中ひとみ
       (7)田園自然再生活動推進宣言
        森本 有紀   (立梅用水土地改良区)
       (8)ふりかえり

    3. プログラム内容
      開 会
         田園自然再生活動協議会会長の中村桂子氏より主催者代表挨拶、その後、農林水産省の安部整備部長及び環境省自然環境計画課の植田課長より、田園自然再生活動に携わる参加者へ温かい応援メッセージをいただきました。

       
    田園自然再生活動協議会
    会長 中村 桂子 氏
    農林水産省農村振興局
    整備部長 安部 伸治 氏
    環境省自然環境局
    自然環境計画課長 植田 明浩 氏

      講 演
        【講演】「田舎の資源を活かしたインバウンド観光 ~Walk Japan の28年の歩み~」
        The Japan Travel Company(株) 代表取締役社長 クリスティ ポール氏
          常務取締役   クリスティ 美保子氏
         クリスティ氏はイギリスのケント州出身で、ロンドン大学では経済学を専攻。
     1987年に留学生として埼玉県川越市に初来日した。1997年よりWalk Japanのツアーリーダーとなり、2002年に同社の役員兼CEOに就任。同年、日本の田舎に魅せられて大分県の国東半島に移住、2010年The Japan Travel Company(株)を設立し、海外からの観光客に「知られざる日本」を紹介しています。
     日本への海外からの関心は非常に高く、観光地や食だけでなく知りたいテーマは無限である。「ウォーキング」を「人間に相応ふさわしい行動・五感がよりよく機能する」ともとらえて日本や日本人に対して深く関わる「思い出」となるツアーを企画するよう心掛けています。
    また、大分県国東半島で取り組んでいる「地方創生:コミュニティプロジェクト」は、地元の人たちと手を組み、会社のさまざまな活動を通して地域の活性化に貢献し、都会から農村への人の流れもでき始めている。これからも、社会や地域に対する責任を果たしながら、そのような地域活動を会社の付加価値としても活かしていきたいと語りました。
     講演の締めくくりとして、地域の価値をいかに伝えるか、その仕組みづくりが重要であり、観光産業と地方創生がタッグを組むことは「一石10鳥」とし、日本の農村にはすばらしい魅力と可能性がたくさんあると、今後の展開に期待を込めていました。
       
    The Japan Travel Company(株)
    代表取締役社長 クリスティ ポール氏
    常務取締役   クリスティ 美保子氏

      オリエンテーション
         今回のパネルディスカッションでは、LENON System(双方向対話型教育支援システム)を使用し、来場者全員にカードサイズのクリッカーを配布して、アンケートに答えてもらいました。アンケートの結果を即時にスクリーンに表示し、来場者の意向を確認しながら講演等を行うもので、昨年度に引き続き本年度も活用しました。


      活動発表
        【活動発表①】『山里NPO ~自立した地域づくりに向けて~』
        NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部 事務局長 松川菜々子氏
         新潟県上越市の桑取谷での活動報告。
     地域との共同で、集落の生存力・まかなう力を呼び起こし、「過疎」という病(コト)を自分たちでなんとかしていくという「免疫力の高いコミュニティ」そのものの再生と維持に取り組んでいます。公共機関のような役割を期待されることもあり、NPOとしてミッション達成型ではなく、内発的な地域づくりをこれからもしっかり行っていきたいと語りました。
       
    NPO法人かみえちご山里
    ファン倶楽部 事務局長
    松川菜々子氏

      【活動発表②】『魚のゆりかご水田から見たSDGs』
        せせらぎの郷 代表 堀 彰男氏
         滋賀県野洲市須原での活動報告。
     生きものと人が共存できる農業を目指して「魚のゆりかご水田プロジェクト」に取り組んでいます。また、6次産業化に向けた酒造りや、環境にやさしい「大麦ストロー」の制作などにも挑戦しています。環境と経済の両立を考えると、活動にストーリー性を盛り込む必要があり、農業農村の価値を広く知ってもらうために「世界農業遺産」認定を地域一丸となって目指しています。農業と地域の付加価値をしっかりと高め、魅力ある農林水産業を次世代に繋いでいきたいと語りました。
       
    せせらぎの郷
    代表
    堀 彰男 氏

      【活動発表③】 『筑波山麓「すそみ」の活動
           ~生きものと共存する米づくりから森を元気にする薪づくりまで~』
        NPO法人つくば環境フォーラム 代表 田中ひとみ氏
         茨城県つくば市での活動報告。
     「自然と人との共存」をテーマに掲げ、生物多様性の保全、子ども達の自然体験や環境学習の場づくり、里山の保全と活用に地道に取り組んでいます。また、つくばという地の利を活かして、CSR活動に取組む都心や市内に立地する企業とも積極的に交流を深めています。豊かな自然を未来世代に引き継ぐために、その価値を多くの人に伝え、守り育てながら適切に活用した地域づくりをこれからも継続したいと語りました。
       
    NPO法人つくば環境フォーラム
     代表
    田中ひとみ氏

      パネルディスカッション ~世界に広がる農村の魅力 地域づくりのこれから~
        コーディネーター: 荘林幹太郎 氏
        コメンテーター: 中村桂子 氏
        パネリスト: クリスティポール氏、松川菜々子氏、堀 彰男氏、田中ひとみ氏
       
     学習院女子大学副学長の荘林氏の進行で、外からの視点を踏まえ、それをどのようにうまく活用しながら地域づくりを行い、考えていくのか、活動を真に継続していくためにはどのようなことが必要か、主に2つのテーマについて、時おりLENON Systemを活用して会場からの意見を交えながら、議論が交わされました。
     クリスティ氏は「地域の魅力や良さをストーリー性を込めて伝えるためのしくみ、そして田舎とまちとのパイプを太らせることが活動継続には欠かせない」と述べました。
     いかに地域の価値や魅力を高め、知ってもらうか、そして活動の経済的価値と社会的価値のバランスをどうとっていくのか、出演者から活発な意見が交わされました。
     中村氏は「地道な活動は必ず世界をみている人たちが上手く活かしてくれる、今回の集いはそういう繋がりをつくったのではないか」とし、高い視点から「この小さな活動を続け広げていくことはとても重要で、一部地域の問題だけではなく、世界共通の、そして我々の文明のありようも問われている」と、活動を続けていく意義を強く訴えました。
     また、荘林氏からは「相互に情報交換や意識啓発を図ることができ、活動を続けていく大きな後押しになったのではないか。また、経済的基盤の弱い活動の持続性についてみんなで考える良い機会となり、そういう声をまとめて大きくしていく場となったのではないか」と、今回の「田園自然再生活動の集い」開催の意義を述べられました。
         
       

      「田園自然再生活動推進宣言」  
        今回の「集い」の締めくくりとして、田園自然再生活動がより多くの方々の協力で進められるように、そして、活動を一過性のものとせずにこれからも継続して行われるように、三重県多気町「立梅用水土地改良区」の森本氏が代表して「田園自然再生活動推進宣言2019」を読み上げ、満場復唱のもと、これからもみんなで頑張っていくことを誓いました。
    立梅用水土地改良区
    森本有紀 氏



      ふりかえり  
         最後にLENON Systemを活用して、会場のみなさんにふりかえりのアンケートを実施しました。「田園自然再生活動の集いに参加されて、どう思われましたか」という質問に、「インバウンドに興味がわいた」29%、「農村の魅力に改めて気づいた」26%、「地域内外の人と交流を深めたいと思った」21%、「地域づくりの活路をみつけた」13%と、さまざまな感想をいただきました。84%の来場者が来年の参加も前向きに検討するという喜ばしい結果を受け、今年の集いも和やかに閉会しました。



    田園自然再生活動推進宣言


     農村地域においては、長い間をかけて人々の営みによりつくられた水田や水路、ため池といった農業に必要なものと里山や川などが有機的に結びつき、そして一体となって形成された二次的自然の中で、多様な生態系が育まれ、世界にも誇れる美しく豊かな自然環境がつくり出されています。
     このような農業・農村のもつ多面的機能が十分に発揮されていくためには、農家と地域住民、NPO、土地改良区、我が国の農村に魅力を感じる様々な人たちが一緒になって自然環境の保全・再生のための活動を積極的に推進していく必要があります。
     令和の新しい時代を迎え、私たちは、自然と長い間の人々の営みによって築かれ、育まれてきた環境、文化、地域社会が将来にわたって持続し、より良いものとするため、

    一つ、農業と自然とが共生した農村づくりに努めます
    一つ、地域における自然や生態系の保全・再生を進めます
    一つ、多様な主体が協働して、地域主導で取り組んでいきます
    一つ、都市と農山漁村の交流、農山漁村体験を促進します
    一つ、環境教育に取り組み、活動を次世代へ繋げます

    以上、


     田園自然再生活動をこの5つの誓いにそって推進することをここに宣言します。

    令和元年11月25日


    一般社団法人地域環境資源センター(JARUS)
    〒105-0004 東京都港区新橋5丁目34番4号
    TEL:03-3432-5295 FAX:03-5425-2466